今週の管理人さんは……
細山田水紀さん(第1回)
お待たせしました! 今週と来週は2週連続でスペシャルゲストをお迎えしています。昨年の24周年に続き、今年は25周年でイベントなどで大忙しの『ぷよぷよ』シリーズ総合プロデューサー、細山田水紀さんです!
構想10年!?『ぷよぷよテトリス』開発秘話
細山田水紀
イザベラ永野

イザベラ永野:細山田さん、今回はお忙しいところありがとうございます! そして、『ぷよぷよ』25周年おめでとうございます。

細山田水紀

細山田水紀:ありがとうございます! よろしくお願いします。

イザベラ永野

イザベラ永野:ところで、細山田さんが『ぷよぷよ』に関わって、何年になるのですか?

細山田水紀

細山田水紀:『ぷよぷよ』が15周年のときからなので、今年でちょうど10年になります。

イザベラ永野

イザベラ永野:もともと「ソニックチーム」にいたんですよね?

細山田水紀

細山田水紀:はい。そのころチームでは『ソニック メガコレクションプラス』『ソニックジェムズコレクション』という、メガドライブ版やゲームギア版などの『ソニック』のゲームがたくさん詰まったゲームを作ってました。設定資料や年表、イラスト集を入れたもので、簡単に言うと『ナムコミュージアム』の『ソニック』版みたいなものです。

イザベラ永野

イザベラ永野:いきなりの他社タイトル! でもたいへんわかりやすいたとえです。確か『ソニック』と『ぷよぷよ』って、同時期に発売されてますよね?

細山田水紀

細山田水紀:そう! どちらも今年で25周年です。

イザベラ永野

イザベラ永野:同い年ですね! そういえば昨年は『ぷよぷよ』が24(ふよ)周年で、1年を通してたくさんのイベントがありましたが、ソニックのバースデーパーティーなんかもあって、イベントの時期がかぶってましたよね。

細山田水紀

細山田水紀:そうなんですよ。同時期に似たようなイベントがかぶったときには、「ソニックさんどうぞ」ってなります!

イザベラ永野

イザベラ永野:え、ゆずるんですか? どうしてですか?

細山田水紀

細山田水紀:「ソニックチーム」のなかに「ぷよぷよチーム」がありますし、ソニックのほうが数か月先輩ですし、ソニックはセガのコーポレートキャラでもありますので……。

イザベラ永野

イザベラ永野:ぷよぷよだってセガの顔ですよ。細山田さんなんかセガの名刺のほかにオリジナルのぷよ名刺を作ってらっしゃるじゃないですか! 私、初めてお会いしたときの“ぷよぷよ20周年”名刺を今でも大事に持ってますよ! 

細山田水紀

細山田水紀:ほんとだ(笑)!

細山田水紀
イザベラ永野

イザベラ永野:25周年バージョンはないんですか?

細山田水紀

細山田水紀:すみません。去年は24周年なので作りましたが、今年のはまだなんですよ。

イザベラ永野

イザベラ永野:残念~。もし作ったらくださいね! では早速、最初に「ソニックチーム」に配属されたときのことをお聞かせください。

細山田水紀

細山田水紀:僕が入社した2002年は、セガがゲームやチームごとに分社化していた時代だったので、ボスというか当時の社長が中裕司さんでした。

イザベラ永野

イザベラ永野:なんとー! 『ソニック』の生みの親! その頃の社内はどんな雰囲気だったのですか?

細山田水紀

細山田水紀:引っ越したばかりで、とてもお金がかかったオフィスでしたよ。ものすごく高価なデスクイスを使ってました。快適な開発環境でした!

イザベラ永野

イザベラ永野:ソニックバブルですね(笑)。

細山田水紀

細山田水紀:デザインチームのリーダーには、『PSO2』のプロデューサーの酒井がいたり、先輩方がそうそうたる方々ばかりでした。

イザベラ永野

イザベラ永野:そういう細山田さんも今やプロデューサー。『ぷよぷよ』の顔じゃないですか! 入社してから4年後の2006年に『ぷよぷよ』に携わるようになったきっかけは?

細山田水紀

細山田水紀:最初は短期間のヘルプだったんですよね。先の『ソニックメガコレクション』シリーズを作っているときに、「ちょっと1週間だけ企画を手伝って」って、当時の部長に言われて……。で、手伝い始めたら「これはがんばらないと進捗がやばいぞ!」ってことに気づいて、1週間だけの手伝いが1ヵ月に延期され……気がついたら今に至ります。

イザベラ永野

イザベラ永野:わははははは!ずいぶん端折りましたねぇ。その10年の間にはいろんなことがあったと思うんですけど、振り返ってみていかがですか? 「ほんとは「ソニックチーム」がよかった。あっちのほうが有名だし」とか思ってますか?

細山田水紀

細山田水紀:いやいや(笑)。じつは僕、パズルゲームは作りたかったんですよね。新人の頃からいろんなパズルゲームの企画書を書いたりしていましたし、「ちょっと考えてみる?」と言われて振られたパズルゲームの企画が、発売されたゲームのミニゲームに採用されたこともあるんです。

イザベラ永野

イザベラ永野:すごいなー! 新人時代から才覚を表わしていたんですね。企画書と言えば、おととし発売された『ぷよぷよテトリス』っていつごろからアイデアや企画があったんでしょうか? やっぱり言い出しっぺは細山田さん?

細山田水紀

細山田水紀:企画自体はじつは2007年ごろからあがっていたんです。言い出しっぺはプログラマーの人間ですが、そのまえに僕自身も2005年ごろに「『ぷよぷよ』と『テトリス』で対戦させたい」みたいな内容のメモを書いてますし、もっとさかのぼると、高校生のときから「このふたつ合わせたらおもしろいよね」みたいなこと言ってましたね。

イザベラ永野

イザベラ永野:構想はそんな昔から! 私は最初に『ぷよテト』見たときはびっくりしましたけどね。うどんとラーメンが同じどんぶりで出てきたみたいな感じ。ふつうは混ぜない。10年まえから企画はあがっていたのに実現に時間かかりましたね?

細山田水紀

細山田水紀:アイデアは思いついても、実際に開発するとなるといろいろなハードルがありましたから。『ぷよぷよ』のゲームデザインをどう作るのかとか、バランス調整や『テトリス』の版権をどうするかとか。

イザベラ永野

イザベラ永野:勝手には作れないですもんね。そういったもろもろのハードルをクリアしていったのはいつ頃からなんです?

細山田水紀

細山田水紀:2008年くらいにはもうちゃんとした企画書もできていて、社内での評判もよかったんですよ。『龍が如く』シリーズの名越も「これおもしろいじゃん」って言ってくれていて……。

イザベラ永野

イザベラ永野:名越さんにも好評! 社内でも評判が良くて、そこからけっこう時間がかかったのはどうしてですか?

細山田水紀

細山田水紀:当時は、同一のプラットホームで同時期に何タイトルも出しちゃいけないとか。『テトリス』版権を使わせていただくタイミングや縛りなどがけっこうありまして、そういう理由が大きかったです。

イザベラ永野

イザベラ永野:なるほどー。

細山田水紀

細山田水紀:で、AOUショー(現JAEPO)というアーケードゲームの展示会に、当時開発していた『デカリス』というゲームを出展したときに、『テトリス』を監修している会社の担当の方が来てたんですよ。

イザベラ永野

イザベラ永野:ありましたね! ブロックだけじゃなくて操作レバーまで巨大な『テトリス』ですよね。筐体がとてもインパクトありましたよね。

細山田水紀

細山田水紀:そうそう。で、やってきた担当者に直撃して、セガブースの脇の商談スペースに来ていただいて、その場で『ぷよテト』の企画書を見せて簡単にプレゼンしたんです。

イザベラ永野

イザベラ永野:すごい! アポなしプレゼンですか! かなりアクティブに攻めましたねえ。

細山田水紀

細山田水紀:うん。だってまず監修者に企画を「おもしろいね」って言ってもらえないと意味がないですから。仮によく出来たゲームが作れるとしても、ラインセンス権利があるところが、「おもしろくない」「ダメ」って言ったら絶対出せないでしょう?

イザベラ永野

イザベラ永野:そうですね。で、その場で「おもしろい」って言ってもらえたんですか?

細山田水紀

細山田水紀:はい(笑)。そこからまた待ち時間はあったんですけど、その後にまた相談したタイミングもよかったんでしょうね。OKをもらってから、1年くらいで開発を進めて発売することができました。

イザベラ永野

イザベラ永野:みじか!「構想10年、制作1年」ですね。いまや『ぷよぷよ』シリーズは、スマホの『ぷよぷよ!!クエスト』に続いて、『ぷよぷよ!!タッチ』も登場して、どんどん世界が広がってますね。

細山田水紀

細山田水紀:はい。『ぷよぷよ』というIP(知的財産)を守っていくだけでなく、いろいろなチャレンジをしていきたいんですよね。

イザベラ永野

イザベラ永野:あの……。これだけ話をしてきて非常に言いにくいんですけど、じつは私、昔から落ちものパズルがヘタでめっちゃ苦手なんですよ! 対戦だと、本気でやっても5歳児に負けるレベルで……。

細山田水紀

細山田水紀:あ、それ、園崎さんもそうですよ。

イザベラ永野

イザベラ永野:声優の園崎未恵さん? アルル役の?

細山田水紀

細山田水紀:はい(笑)。園崎さんも落ちものパズルがすごく苦手って言ってて、あるとき、まだ発表まえに『ぷよぷよ!!クエスト』を試しにやってもらったら、以来まんまとハマっていただいて今や超重課金者……重要なお客様ですよ。「○○出ました!」って言ってやりこんでいらっしゃいますが、相当ハマりまくってつぎこんでいるご様子。

イザベラ永野

イザベラ永野:え~! いったいどのくらい課金したんだろ?

細山田水紀

細山田水紀:金額は僕も自分で確認できるんですが、自分自身自腹なので、さすがに怖くて見られないです(笑)。

イザベラ永野

イザベラ永野:みなさん、セガの超お得様ですねっ。でもわかります。だってレアなキャラクターカードはどうしたってほしくなっちゃいますもん。あと、『ぷよクエ』は、落ちもの系苦手な女性が夢中になる理由もわかりやすくて、反射神経なくてもじっくり考えてプレイできるのがありがたいんですよね。

細山田水紀

細山田水紀:ふふふ……。イザベラさんもぜひつぎ込んでください。

イザベラ永野

イザベラ永野:やめてください! じつはit-tellsの【ぷよぷよ公式】コミュで 初代ぷよシリーズの全5キャラの★6カードをプレゼントしたときは、ウィッチが6816「そうだね!」を記録したんですよ。シェゾは次点で6810「そうだね!」、ほかのキャラも6000以上の応募があったんです!

細山田水紀

細山田水紀:ええっ! そんなに? すごいね。

イザベラ永野

イザベラ永野:これはPS4とかデジカメとか豪華景品が当たるキャンペーンを抑えてのit-tells史上最高の応募数だそうです。『ぷよクエ』恐るべしです! さて、それでは今週はここまでです。細山田さん、次週も引き続きお付き合いください。

細山田水紀

細山田水紀:はい、よろしくお願いします。

細山田さんが『ぷよぷよ』に関わりはじめてから10年の間に、ご苦労もたくさんあったと思うのですが、実際のインタビューでもホントにあのコメントのまま「手伝っていて、気づいたら……今に至る」と、おっしゃったんですよね。後編では、ゲーム以外で『ぷよぷよ』がチャレンジしたことについて具体的なお話をうかがいます。次週、3月3日にお届けしますのでお楽しみに!
   
インタビュー後編を読む>>

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ぷよぷよ(セガ公式)
言わずと知れたセガ公式のコミュニティ。これまでにたくさんのキャンペーンが行なわれてきましたが、今年も2月4日から3月4日まで「ぷよの日」のプレキャン開催中ですよ!ご応募をお忘れなく。細山田Pも副管理人をされていて『ぷよぷよ』に関するニュースをたまに投稿してくれています。