今週の管理人さんは……
福本岳史さん(第1回)
今週から新しいゲストをお迎えしています。【ゲームあるある】【歴史大喜利】【Siriとしゃべろう!】などネタ系コミュニティを運営する放送作家の福本岳史さんです。まずは、放送作家のお仕事についてあれこれ聞いてみました。
放送作家というお仕事
福本岳史さん
イザベラ永野

イザベラ永野:福本さん、初めまして。放送作家のお仕事って具体的にどんなことするんですか?

福本岳史

福本岳史:初めまして! よろしくお願いします。それ、いちばんよく聞かれるけどいちばん困る質問なんです(笑)。

イザベラ永野

イザベラ永野:テレビを見てると、バラエティ番組なんかのエンドロールで作家さんの名前がずらずらいっぱい出てくることがありますよね? 単純に台本だけ書くのにそんなに人がいるのかな? って思うんですが。

福本岳史

福本岳史:そうですよね。基本的にはテレビ番組やラジオ番組の企画を立てて台本を書くって言うのが仕事なんですけど……。じつは台本だけ書いてるわけではなくて、アイデア出しなんかが大きいですね。

イザベラ永野

イザベラ永野:アイデアですか。

福本岳史

福本岳史:テレビっていろんなものを詰めこまなきゃいけないので、ネタがいっぱい必要なんです。エライ作家さんが大枠作って、大勢の作家から出てきたアイデアを入れていく場合もあるんです。

イザベラ永野

イザベラ永野:そういうときが、あのずらずらエンドロールになるわけですね。

福本岳史

福本岳史:はい。ラジオ番組の場合、番組のパーソナリティのあのトークって全部作家が台本を書いてるのかって話になるじゃないですか? たいていの場合はそうじゃなくて、話を切り出すところの会話や決め文句だけ書いておいて、あとはもうパーソナリティに任せています。ブースのなかに、ディレクターではないスタッフがもうひとりいて、それが放送作家であることが多いんですよ。

イザベラ永野

イザベラ永野:はいはいはい! 高田文夫(※1)さんが浮かびますね~。当時の『ビートたけしのオールナイトニッポン』にはなくてはならない存在でしたね。

福本岳史

福本岳史:はい、まさに。ラジオのブースにいる放送作家はよく声を出して笑ったりしてますけど、僕はどっちかっていうと黙るほうで……。

イザベラ永野

イザベラ永野:あらら。控えめな放送作家ですか? どうして?

福本岳史

福本岳史:僕は自分の声あんまり好きじゃないのと、担当するのが女の子の番組が多いので、女の子の番組男の笑い声入るのってどうなのかな? って思って控えてるってのもあります。

イザベラ永野

イザベラ永野:福本さんは気遣いの人なんですね。いずれにしてもただ横に座って笑ってるだけじゃないですよね。

福本岳史

福本岳史:はい(笑)。なかで進行管理みたいなことをしてますね。パーソナリティが言葉に詰まっているようなときはつなぎの言葉を書いてカンペ出したりとか。あとは時間が押しているときに残り時間を計算して、紹介するメールを決めるタイムキーパー的なことも。そういうのも僕たち作家の仕事なんですよね。

イザベラ永野

イザベラ永野:なんか現場監督みたい。時間調整はどうやってコントロールするんですか?

福本岳史

福本岳史:たとえば残り時間2分しかないというときに、しっかり答えなきゃいけない相談のメールを紹介したらきっと時間内におさまらないですよね? メールを読んでそれにリアクションするところまで計算して、それがおさまるような軽いネタを選ぶんですよ。

イザベラ永野

イザベラ永野:ほうほう。その采配を生放送中にやるわけですから、たいへんですよね。

福本岳史

福本岳史:そうなんです。なので、かっこつけたいときは、”放送作家は戦国時代の軍師みたいな仕事”って説明してます(笑)。

イザベラ永野

イザベラ永野:お、かっけ~。よっ! 平成の黒田官兵衛! 

福本岳史さん
放送作家の三種の神器、残り時間が逆算できるストップウォッチと赤ペン、ボールペン。これさえあればとりあえず、いつでもどこでも現場の仕事ができるそうです。
福本岳史

福本岳史:あとはディレクターや演出家の相談相手にもなります。

イザベラ永野

イザベラ永野:相談役ですか。本当にやることが多いんですね。福本さんは現在のラジオ以外のお仕事だと、ほかにどんな番組に関わっていたんですか?

福本岳史

福本岳史:以前は漫才やコントなどの台本を書いたことあります。コントになると逆に台本をがっつり書くんです。ですからテレビかラジオか、番組や出演者によってもやり方というか書き方がまったく変わってきます。あとは人にもよりますね

イザベラ永野

イザベラ永野:人って言うとタレントや芸人によるってことですか?

福本岳史

福本岳史:そうです。台本どおりに読んでくれる人と書いた通りにはしてくれない人がいますので……。いい悪いではなくてね。その人に合わせた書き方をする必要もあるんですよね。

イザベラ永野

イザベラ永野:そうなんですか! 漫才やコントって、芸人さん本人が考えて書いてるのかと思ってた。

福本岳史

福本岳史:若手の人は本人が書かれること多いですけど、昔のベテランの方は台本を作家が書いていることが多かったんですよ。で、そこに芸人が味付けしていくんです。わかりやすいのは、NHKの生活笑百科(※2)ですね。番組の最後に「作・○○」なんていうクレジットが出ます。

イザベラ永野

イザベラ永野:なるほど~。言葉や笑いのセンスだけでなくて、状況判断もしなくちゃいけない難しいポジションだったのですね。ほんと頭の回転早い人じゃないとできない仕事ですね。判断を誤ったら、そこでもうぐだぐだになるでしょうから責任重大だしまさに軍師!

「作家」と付くことから、放送作家って番組の脚本を書く仕事という印象がありましたが、今回お話をうかがって放送作家というのは、オールマイティな、なんでも屋なんだと知りました。柔軟で機転がきく人じゃないできない仕事じゃないかなぁ。次回は福本さんが放送作家になるまでの険しい道のりに迫ります。
   
※1 高田文夫
’80年代を代表するお笑い番組『オレたちひょうきん族』をはじめ多くのバラエティ番組の構成を担当した放送作家。タレント、演芸評論家としても知られている。

※2 バラエティー生活笑百科
コント仕立てで法律相談に答えるNHKの長寿番組。バラエティータッチで法律問題を扱った先駆け的な存在。相談室長の笑福亭仁鶴をはじめ多くの関西芸人が相談員として出演している。
福本岳史さんのおもな管理コミュニティ
【歴史大喜利】
管理人の福本さんがお題を出し、参加者がネタを投稿するスタイルの参加型コミュです。次々出されるお題がすでに面白かったりしますが、 「みなさんお気軽に投稿してくださいね」とのこと、ボケてボケてボケ倒せ! 
【ゲームあるある】
ゲームに特化したあるあるコーナー。アーケード版、家庭用ゲームのトピックがありますが、昨今はオンラインゲーム系のネタがいっぱいありそうなので、みなさんの体験談やあるあるネタをお待ちしてます!
福本 岳史(ふくもと たけし)さん
プロフィール
ラジオを中心に活躍する放送作家。NHKラジオ第1にて毎週土曜夜9時からの『wktkラヂオ学園』などを担当。1973年8月18日大阪生まれの獅子座、O型。現在の体重は99キロ!